「中小企業 融資」と聞くと、多くの人は銀行からお金を借りるイメージを思い浮かべるでしょう。
しかし今、注目されているのが「資本性ローン」という特別な制度です。
これは日本政策金融公庫が提供しているもので、従来の融資とは異なる特徴を数多く備えています。
資本性ローンは、借入金でありながら、財務上は会社の「自己資本」として評価される
というユニークな仕組みです。つまり、借金なのに会社の財務体質が強くなったと見なされるのです。
私も社長の右腕として、実際に「資本性ローン」の申請を行い、書類作成から審査対応なども
すべて1人で対応し、審査通過→融資契約締結した経験がありますので、
この記事では、「資本性ローンってどんな制度?」「メリットや注意点は?」
「審査はどのような感じか?」などについて、わかりやすく解説していきます。
■ 資本性ローンとは?普通の融資との違い
資本性ローンは、通常の借入と少し違います。お金を借りる点では同じですが、
会計上は「借入金」であるにもかかわらず、金融機関の判断では「自己資本」と見なされます。
このため、会社の自己資本比率が向上し、信用度が高まる効果があります。
たとえば、他の金融機関に追加の融資を申し込む場合でも、
「資本性ローンを活用している=財務に強みがある企業」として好印象を与えることができます。
さらに、資本性ローンは、新規事業に取り組む中小企業、経営再建を目指す中小企業など、
チャレンジ精神のある中小企業を応援するために設計されています。
■ 通常の融資とどう違うのか?
資本性ローンには、次のような特徴があります:
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元金は最終期限に一括返済、期間中は利息のみ支払い
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担保や保証人は原則不要
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借入金が自己資本と評価される
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万が一、会社が倒産した場合、他の債務よりも返済の優先順位が低い(=このため劣後ローンとも言われます)
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赤字決算時には利率が最低0.5%に軽減される
このように、財務状況がまだ安定していない企業でも使いやすく、資金繰りを助ける仕組みになっています。
■ 資本性ローンの主なメリット
- 財務上、借入額が資本としてみなされる。
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借入期間中に元金の返済がなく利息のみの支払い
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担保や保証人が不要
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財務内容が改善され、一般の金融機関からの評価も上がる
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赤字決算でも申請が可能で、金利も低く抑えられる
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株式の発行が不要で経営権が守られる
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長期の返済期間で資金繰りにゆとりが持てる
特に、今は赤字や債務超過だったりするが、再建を目指す中小企業や
更に将来の成長を目指している中小企業にとっては、非常にありがたい仕組みです。
■ 資本性ローンの注意点
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審査基準が一般的な融資より厳しく、審査期間が長い(約3〜6ヶ月)
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黒字化すると利率が上がるため、利息負担が増える可能性あり
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原則として中途返済ができない(特に最初の5年間)
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四半期ごとに事業報告(試算表)を提出する義務がある
急な資金需要には向いていませんが、しっかりと中長期的な成長を目指す企業にはとても心強い制度です。
■ 資本性ローンの申請手順
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社内だけで対応するのも心細いので、まずは資本性ローン申請の実績がある
認定経営革新等支援機関に相談する。 -
メインバンクなど、すでに取引している金融機関にも「資本性ローン」の申請を検討していることを共有しておく。
メインバンクを中心に協調融資という形でメインバンクから日本政策金融公庫に協力要請をしてくれます。 -
直近の決算書・資金繰り表の作成・準備
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長期視点での事業計画書を作成(10年分の見通しを含む)
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書類提出後、日本政策金融公庫との面談・ヒアリング
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審査<審査の主な流れ>
① 担当窓口となる部門での提出書類に関する確認(担当者から確認や質問があります)
② 担当窓口となる部門での簡易的な面談(再確認を含めたヒアリングなどがあります)
③ 担当部門から本部(審査部)に審査が移管されます。
④ 提出書類に関して審査部から別角度で質問や確認などがあります。
(場合によっては会社を訪問し、会計システムや帳簿などを現地確認などする場合もあります) -
審査部門とトップ面談(最終)
主にここまでの審査で確認できた課題や問題点への対策や今後の事業展望などが中心で面談が行われます。 -
承認後、契約締結→融資実行
■ 資本性ローンに強い認定支援機関おすすめ3選
1. 東京中央経営株式会社
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資本性ローン支援の先駆者的な存在で実績が豊富。(全国対応可能)
2. ペンデル税理士法人
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コロナ対策ローンの実績豊富、補助金支援にも強い
3. アセントリード株式会社
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リスケ中企業の支援実績あり、事例集も公開中)
🧐 支援機関を選ぶポイント
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実績が豊富か(承認件数)
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一貫したサポート体制があるか
- 業種や規模などに関わらず柔軟に対応できるか
■ 2025年以降の制度の変化とチャンス
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コロナ対応制度が終了し、「挑戦支援資本強化特別貸付」が中心に
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AI・ロボット・自動化など省力化投資への適用拡大
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社会課題・地域貢献型の事業が審査で高評価
■ まとめ:資本性ローンは未来志向の資金調達手段
資本性ローンは、創業期や再建中の企業にとって、自己資本強化と資金調達を同時に
実現できる非常に魅力的な制度です。
申請には時間と準備が必要ですが、認定支援機関との連携によって
成功の確率を高めることが可能です。
単なる借入ではなく「戦略的資本強化」として、ぜひ活用を検討してみてください。