はじめに
資金繰りをよくすることは、中小企業の経営にとって非常に大切です。
売上が順調に見えても、実際に手元にお金がなければ、会社は動きません。
支払いが滞れば取引先の信頼を失い、最悪の場合は倒産してしまうこともあります。
この記事では、会社の経営を安定させる「資金繰り改善のテクニック」を、実践しやすく、わかりやすい言葉で紹介します。
特に、経営や商業の授業を受けたことのある高校生にも読めるように、やさしい表現でまとめました。
お金の流れを「見える化」しよう
資金繰りをよくする第一歩は、
**「今いくらあるのか」「これからどれくらい出入りがあるのか」**をしっかり把握することです。
それを実現するのが「資金繰り表」です。
資金繰り表の種類
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日次資金繰り表:毎日の入金・出金を記録して、細かく現金の動きをチェック
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月次資金繰り表:1ヶ月〜数ヶ月先までのお金の動きをざっくり予測
最近では、Excelテンプレートやクラウド型会計ソフトを使えば、誰でも簡単に作成できます。
まずはざっくりでもいいので、「作ってみる」ことが大切です。
第二社長室 おすすめテンプレート
1. BOXILビジネステンプレート(月次・年次)
【特徴】:1シートで月次/年次の予実管理が可能。
【おすすめポイント】:自由にカスタマイズでき、導入後すぐ使える。
→ BOXIL 資金繰り表を無料ダウンロード
2. 日本政策金融公庫「資金繰り表」
【特徴】:簡易・詳細の2種類、手順や記載例付き。
【おすすめポイント】:融資提出資料としても安心の信頼性。
→ 日本政策金融公庫 テンプレートをダウンロード
3. 京都銀行「資金繰り表+経営計画書」
【特徴】:業種別・事業規模別に3種のExcelシートを提供。
【おすすめポイント】:経営計画書とセットで使えるセット感。
→ 京都銀行 テンプレートをダウンロード
売掛金を早く回収する工夫
商品を売っても、すぐにお金が入るとは限りません。
多くの取引では、1〜2ヶ月後の入金になることもあります。これが売掛金です。
この売掛金を、できるだけ早く回収する工夫が資金繰り改善のカギです。
具体的な方法
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「少しだけ割引するから早めに振り込んでください」とお願いする
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回収サイトを短くできるよう、取引先と交渉する
ファクタリングの活用
売掛金を専門会社に買い取ってもらい、早めに現金化できるファクタリングも有効です。
ただし、手数料が高めなので使いすぎには注意しましょう。
オンライン決済の導入
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クレジットカード
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QRコード決済
こうした支払い方法の導入で、すぐに代金を受け取れるようになります。
特にネットショップやサービス業に効果的です。
支払いをコントロールして現金を守るテクニック
売上の回収と同じくらい大切なのが、「支払いのタイミング」の調整です。
支払いを遅らせてもらうことで、資金に余裕が生まれます。
ただし、単に「遅らせて」とお願いするのではなく、
丁寧な交渉と信頼関係の維持が重要です。
請求書カード払いサービスの活用
例:支払い.com などの活用
請求書をクレジットカードで支払うことで、最大60日支払いを延ばせるサービスです。
固定費の見直しも効果的
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アルバイトのシフト調整・外注費の見直し
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家賃・光熱費・通信費などのプラン見直し
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備品・印刷物など無駄なコストの削減
こうした小さな積み重ねが、大きな資金の改善につながります。
在庫を減らしてお金を動かす方法
在庫が多すぎると、お金が商品に変わって動かなくなります。
さらに売れ残りは価値が下がり、保管にもコストがかかります。
在庫管理のコツ
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ABC分析:
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A商品=よく売れる
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B商品=そこそこ売れる
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C商品=あまり売れない
→重点管理で無駄な在庫を減らす
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JIT(ジャストインタイム):
必要なときに、必要なだけの在庫を持つ考え方
ツールの活用
在庫管理ソフトやクラウドサービスを使うことで、
在庫数や発注タイミングを見える化できます。
結果的に、仕入れミス・人件費の削減にもつながります。
外部の力を借りることで解決が早くなる
資金繰りの悩みは、社内だけで抱えず、外部の力をうまく使うことも大切です。
銀行との関係づくり
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定期的に業績報告や試算表を共有
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信頼関係ができれば、融資がスムーズに
補助金・助成金の活用
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設備投資、新規事業、人材育成など
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返さなくていい資金として利用できる
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情報収集と早めの準備が成功のカギ
プロに相談する
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税理士
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財務コンサルタント
彼らに相談することで、客観的なアドバイスや改善案を得られます。
改善は1回で終わりじゃない!PDCAサイクルで継続を習慣にしよう
資金繰りは継続が命です。
改善を1回で終わらせず、PDCAサイクルを回していきましょう。
PDCAの流れ
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Plan(計画):資金の動きを予測する
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Do(実行):資金繰り表を作成し、改善策を実施
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Check(検証):実際の動きを見て、計画と比較
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Act(改善):ズレを修正し、次のアクションへつなげる
この習慣がつくと、早期にリスクを察知し、対策が打てるようになります。
おわりに
資金繰りは、倒産を防ぐ「守り」だけでなく、
会社を成長させるための「攻めの基盤」でもあります。
今回ご紹介した裏ワザを使えば、
無駄な支出を抑えつつ、必要な資金を確保できます。
そして、未来への投資や新しいチャレンジにも、自信を持って踏み出せるようになるはずです。
まずは、「お金の流れを見える化する」ことから始めてみましょう。